2010/10/29
隣のベッドの患者はわりと病気が重いように思える。
なんの病気かわからないが、酷く幼稚な部分があり、かまってちゃんで、いろんな患者や看護師に妄想混じりの理解不能な話をしだすので、うざがられたりしている。
自分も入った当初、いきなりカーテンをあけて話しかけられたので、経験的にこの人をかまってしまったら、後々重荷になり、最後は絶交することになるだろうと思って冷たくした。最初から縁がなければ、裏切ることもない。
だけどこの患者は一部の人には好かれている。幼稚が故に知的障害かと思える反面、パソコンにちょっと詳しかったりするので、幼稚退行的な部分は病気のせいなのかしらん?と思ってしまうくらいだ。
また、人にすぐ物をあげるので、たかりやの患者がコーヒーもらえない?とか、砂糖もらえない?とかCDプレイヤー貸してくれない?なんて言えば、いいですよいいですよとあげたり貸してしまう。
それを利用して傍目からしてたかる人もいれば、友達になってる人もいるようだ。ある意味、すごく素直な性格なのだが、たまに来る親に一日の小遣いが足りないと言って愚痴って怒られてたりするのがなんとも言えない。
人によって態度ががらりと変わるので、この患者の人間関係の距離感というのがよく分かる。学生の研修生が来れば、長々と話をするのだが、好意の度合いによって話すテンションが変わる。
どうも一番のお気に入りはデイケアスタッフの女性らしい。彼女が来ると話がとたんに理路整然(一方的なのは変わらないとしても)としだして、話し声が興奮状態になる。どんな人か見てみると、若き日の広末涼子に似ていて、快活でいて落ち着いた優しさを感じる人だ(矛盾しているようだけど、ここが今日のテーマ)
このスタッフは、ほかのスタッフが避けるこの患者とちゃんと向き合って話している。
話し方はまるで自分の子供に対して話しかける優しいお母さんのようだ。話を聞いていて、それでいてちゃんと伝えるところは伝えていて、さらに時間的に都合のいいところで自然に話を切って退散している。
この女性は、プロ、と言ってしまえばそれまでなんだけど、こんな人、精神科に通い出して初めて見た。美人なのに、髪をどこで切ったの?って、まるで自分で切ったんじゃないかと言えるような雑然としたショートカットなのも不思議なところだ。普通、自分の容貌がそれなりの女性、しかも働いて人と接するのが仕事なのに、この髪型?なんだ違和感がある。
過剰とも言えるほどの親密な接し方。この人、ちょっとおしゃれさせたらキャバクラですぐにナンバーワンになれるんじゃないかと言えるほど聞き上手だ。今まで男以外で、このテク使わせていただきますと言えるほどの親密性コミュニケーションテクニックを使いこなせてる人は本当に珍しい。隣の話を聞いていて勉強になった。
不思議な人だ。まるで漫画のキャラみたいで、なんかひっかかるし。違和感を感じる。
人格をコピって小説の新キャラに生かせないだろうか?